調停調書の効力
特定調停では、債務者と債権者双方が納得の上で合意が得られると、その合意した内容を記載した「調停調書」が作成されます。
調停調書とは、裁判所が作った和解書のようなものですが、その効力は「(※)債務名義」となり、極めて強力なものです。調停証書は裁判による確定判決と同様の効力が認められているため、債務者が約束通りの返済ができないと、債権者は改めて訴訟を起こさなくても、この調書に則って給与差押えなどの強制執行手続きをすることができます。
強制執行とは、国が債権者に代わって強制的に債権を回収することで、差押えや取立てによって債務者の財産(給料や不動産・自動車など)が没収されてしまいます。
特定調停は債務者本人が各債権者と交渉する必要があります。そのため、特定調停が成立後、調停調書通りの返済が不可能にならないように、慎重に和解交渉を進めていく必要があります。
(※)債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を表示した公の文書です。強制執行を行うには、この債務名義が必要です。また、弁護士が任意整理で行う和解書には、このような効力はありません。