取引履歴の不開示
特定調停で債権者がすべての取引履歴を開示してこない場合には、裁判所に対して文書提出命令の要求を促すことができます。債権者がこの文書提出命令に正当な理由なく応じない場合は、10万円以下の過料に処せられることになりますので、一定の強制力が見込めます。
平成17年以降、「債権者は原則として取引履歴の開示義務を負っている」とする最高裁判決が下されたことから、ほとんどの業者はきちんと開示するようになりました。しかし、現在でも一部の業者は、取引初期の履歴を既に廃棄してしまっていることから、途中からの取引履歴しか開示してこない場合があります。また、過去には一部の内容を改ざんして提出した事例もあります。
特定調停は弁護士などの専門家に依頼せず、自分で手続きを行って和解交渉を行うことが殆どです。そのため、特定調停を自分で申立てている場合は、取引履歴が開示されたら、まずは「全期間の取引履歴かどうか」や「内容が正しいかどうか」を確認するようにしましょう。